小説

むらさきゆきや『14歳とイラストレーター』5巻ネタバレ感想。

どもです。この頃、すっかり小説を読まなくなってしまいまったのですが、読書意欲そのものはあるので、何か面白いライトノベルを見つけたくて、ネットを検索してみました。

うん、わからない! どうもしばらく読まないでいた結果、感性のアンテナが錆びついてしまっているらしく、どれが面白いのか、直感的にわかりません。

ある程度読んでいると、だいたいカンであたりを引きあてることができるのですけれどね。いやー、ぼくのセンスも衰えているわ。

しかたないので、気になる作品を片っ端から読んでみようかと思います。とりあえず、『君に恋をするなんて、ありえないはずだった。』という恋愛小説と、蒼山サグさんの『ゴスロリ卓球』という作品を買ってきましたが、さて、カンはあたっているかな。

というか、何だよ、ゴスロリ卓球って……。蒼山さんといえば、ロリータ系の美少女もので知られる人ですが、今回はロリコンホイホイな話ではないようです。表紙のヒロインも(胸は大きいけれど)特に露出度は高くない。

まあ、前にも書きましたが、「ライトノベル=エロ」という図式は偏見としかいいようがありません。実際には、エロで売っているライトノベルなど、全体のなかではごく少数だと思います。

もちろん、「お色気」とか「チラリズム」程度のエロはいくらでもあるのだけれど、それ以上の性描写を過激に展開しているものは少ない。たぶん、エロエロの内容にしてもウケないんですよ。ライトノベルのユーザーは過激なエロティシズムを求めていない。

なぜそうなのか、はっきりと記すことはむずかしいですが、とにかくそういうことがいえるかと思います。ウソだと思ったら、Amazonとか楽天でライトノベルをずらっと並べて見てみると良いです。極端に露出度の高い表紙がごく少ないことがわかることでしょう。

しかし、まあ、これらの本はいまから読むので今回は取り上げません。この記事で扱うのは、むらさきゆきや『14歳とイラストレーター(5)』。ぼくがいま読んでいる数少ないライトノベルのなかのひとつです。

この作品の何が良いって、ライトノベルにありがちなルサンチマン描写や展開が一切ないこと。リア充とか陽キャとかへの恨み言みたいなものがまったく出て来ないのですね。

まあ、その分、情念が薄くて迫力に欠けるという一面はありますが、読み心地は爽やかです。いま、ベストセラーになっている『ヲタクに恋は難しい』とかに近いものがあるのではないかと思います。

ぼくは、かなり昔から「ライトノベルは脱ルサンチマンの方向に向かうのではないか」といっていたのですが、そのひとつの完成形ということができそうです。

この小説、基本的にはごく他愛ない日常ラブコメなので、ぼくが好むような波乱万丈の物語的な起伏はあまりありません。今回も、主人公とヒロインズが旅行に出かけて観光を楽しむという、ただそれだけのお話です。

でも、ただそれだけでも面白いんですね。ひとつにはキャラクターがはっきりと立っているからだろうし、やはり、雰囲気が爽やかなのも良いと思います。

ほんの数年前まで、ラノベの青春ものといえば、もっとネクラな雰囲気のものが多かったように思うのですけれど、ここにあるものは、もう、ただひたすらにリア充な生活です。

もう、オタクがどうとか、そういうことはあまり関係がないのですね。これはいいかえると「オタクであること」をイイワケにできなくなったということでもあり、一部の非モテの人はいっそう追い込まれることになるだろうな、と考えます。

だって、自分がモテないのはオタクだからではなく、ただ単に自分に魅力がないからだという結論に、どうしても到達しちゃうだろうからね。切ないよね。

それはまあともかく、今回もライトに読めてハッピーになれる一冊でした。ハーレムラブコメといえばそうなのだけれど、その種の作品につきまとういやらしさがあまり感じられないところも良いですね。

もちろん、そのせいでどうしても淡泊な印象になってしまっている一面もあるのだけれど。ほんとうにギラギラしたところがまったくない。

こんなにまわりに美人がたくさんいたら、昔の完成だともっとギラつきそうなものだけれど、そういうことにはならないのですね。わかるんだけれど、それで良いのかという気もします。良くも悪くもイマドキの小説という感じですね。

で、ぼくはやっぱり時代の最先端を行くものが好きなので、この作品には注目しているのです。やっぱりベストセラーになるにはもうひとつ、何かが足りないというふうにも思うのですが、個人的には好きな作品なのです。

あまりリアルから乖離しすぎた内容ではなく、落ち着いて読んでいられるのですよね。

さて、次は『ゴスロリ卓球』を読んでみます。いったいどんな作品なんだ。前情報ゼロで小説を読むのもひさしぶりなので、かなり楽しみです。

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