マンガ

レズビアン妊娠活動漫画『ゆりにん』を読んでみた。

 ども。最近、料理に凝っている海燕です。

 凝っているとはいってもちろん家庭料理のレベル、それも初心者に毛が生えた程度の腕前ですけれど、日々、何を作ろうかなあと考えることは楽しいです。

 じっさいに作ってみると上手くいかなかったりするんですけれどね。

 きょう作った「えびとセロリの塩炒め」はしみじみと美味しくなかった。

 ていうか、セロリに火を通すとダメなんじゃないかな。このレシピは「お気に入り」から抹消しておこう。

 ちなみにダイエットも粛々と実行していて、合計で5キロちょっと痩せました。

 その時々でいくらかの増減はあるにしても、まずまずのスピードといえるのではないでしょうか。そろそろ停滞期に入る可能性もありますが……。

 さて、それとは特に関係ありませんが、きょう紹介するのはある同性愛カップルの妊娠活動を描いた『ゆりにん レズビアンカップル妊活奮闘記』。

 一作の漫画としてのクオリティは正直、オススメできるかどうか微妙なところにあるのですが、ほかに類例がない本であることは間違いないのでここでレビュっておきます。

 この本、あるとき、ふとしたことから妊娠・出産を目指すことになったひと組のレズビアンカップルの過酷な「妊活」を描いています。

 レズビアンと妊活という言葉がうまく結びつかない人もいるかもしれませんが、当然ながら同性愛者でも子供を欲しいと望む人は多く、じっさいに産み、育てている人も少なくないわけです。

 これまた当然のことながら女性同士のカップルでは精子を用意できないので、だれか第三者に提供してもらう必要があることにはなりますが、それでも子供を持ちたいと望む人はいる。

 よく同性愛者は子孫を残せないから不完全なのだとかばかげたことをいう人がいますが、じっさいには同性愛でも子供を産んだり育てたりしている人は大勢いるのです。

 この本の主人公たちもそんなカップルのひと組。ちょっとしたことをきっかけにして子供を持ちたいと希望し、それから長く大変な「妊活」に励むことになります。

 ひと言で「大変」と書きましたが、いや、これがほんとうに大変なんだ。

 まず、妊娠のための精子を手に入れることがむずかしい。

 やっと提供者が現れてその問題が解決しても、なかなか妊娠できない。

 さらには主人公には持病があり、それとの兼ね合いも探り探りになる。

 その上、過去の虐待のトラウマが突然よみがえったりする……。

 それはもう、「壮絶」といいたくなるような凄まじい展開が続きます。

 いやー、妊娠・出産するってほんとうに大変なんですね。

 幸いにというべきか、主人公たちの周囲には理解者や協力者が多く、彼女たちはその人々に助けられて「妊活」を続けるのですが、なかなか結果は出ません。

 そしてやがては――まあ、そこはネタバレになるので書きませんが、とにかく「妊活」の辛さ・苦しさを思い知らせるようなハードな描写が続いて行きます。

 ここらへん、漫画としての表現力が付いて行っていないところもあるし、また、全体の構成がもうひとつなのではないかとも思えるのだけれど、それにしても事実の重みが圧倒的な迫力をかもしだしている。

 色々な人生があるなあ、と思わずにはいられません。ちょっとしたセンス・オブ・ワンダーですね。

 ちなみに最後の解説でゲイの青年と羅川真理茂の漫画『ニューヨークニューヨーク』の話が出て来ていて、この作品のファンのぼくはちょっとじんわりしてしまいました。

 『ニューヨークニューヨーク』はアメリカのニューヨークを舞台にゲイの青年ふたりの純愛を描いた傑作で、ゲイシーンでも有名な作品のようです。

 「女性作家が描いた同性愛もの」という意味ではボーイズ・ラブといえないこともないのだけれど、完全にそのフレームを乗り越えている代物ですね。

 この漫画、ぼくは読むたび泣けて来るのですが、じっさいにゲイとして生きている人たちはさらにもっと切々と迫って来るものがあるのかもしれません。

 早くゲイへの差別なり偏見が和らいでいくようにと思わずにはいられません。

 ぼくはもちろんゲイやレズビアンのシーンに詳しいわけではないけれど、いまなお差別が大いにはびこっていることはネットを見ればあきらかですから。

 もっとも、日本は若年層と高齢層の同性愛に対する意識の差がきわめて大きい社会で、若年層では同性愛に寛容な感性が育っているようです。そこらへんに期待をかけたいと思います。

 まあ、『ゆりにん』は相当ひとを選ぶと思うのであえてオススメはしませんが、『ニューヨークニューヨーク』はわりに万人向けの傑作なので、推薦しておきたいと思います。

 ぼくの漫画人生でもトップクラスの感動作ですので、ぜひぜひ。

 同性愛に偏見を抱いている人にこそ読んでほしいくらい。真の傑作は、ひとの心の狭さを変えるのです。

 まあ、頑迷に変わろうとしない人も、それはいるでしょうけれどね。

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