アニメ

スヌーピーと生きる。『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』感想。

 ども。映画『I LOVE スヌーピー THE PEANUTS MOVIE』を観て来ました。

 そう、スヌーピーとチャーリー・ブラウンが出て来るあの漫画のタイトルは『PEANUTS』というのですね。知っていました?

 この映画はそのスヌーピーとチャーリー・ブラウンの世界をそのままに、最先端の3DCGアニメに仕上げた逸品。

 あの『PEANUTS』をどうすれば映画になるの?と思われる方も納得の傑作映画に仕上がっています。

 いや、じっさい、『PEANUTS』のファンなら楽しめること間違いなしのエンターテインメント・ムービー。

 スヌーピー以外は何も知らない人だとちょっと苦しいかもしれないけれど、それでもどうにか味わえるであろう一作に仕上がっています。

 雨の中をわざわざ見に行った甲斐があったというもの。個人的には素晴らしい出来と思えました。

 もともと『PEANUTS』は新聞連載の漫画作品で、世界中で数億冊を売り上げたといわれる有名な漫画です。

 シニカルなかかにも子供たちへの愛情を秘めたストーリーが売りで、一度味わったら忘れられないような癖になるテイストを持っています。

 主人公は何をやっても必ず失敗する少年、チャーリー・ブラウン。

 何にせようまくいかないかれの救いは愛犬のスーパービーグル、スヌーピーです。

 また、チャーリーのまわりにはライナス、シュローダー、サリー、ルーシー、マーシー、ペパーミント・パティといった一風変わった子供たちがいつも遊んでいて、失敗続きのかれをときに慰め、ときにからかったりします。

 今回はこの「おなじみの面々」に加えて、チャーリーの初恋の「赤毛の女の子」が転校して来るというイベントが発生し、ちょっと『小さな恋のメロディ』めいた、一方通行のラブストーリーが展開します。

 一方的にほれ込んでしまった彼女のために、チャーリーはテストで満点を取ったり、ダンスの練習をしたり、トルストイの『戦争と平和』を読み込んで読書感想文を書いたりと、懸命の努力を続けますが、いつもどういうわけか最後にはうまく行きません。

 まるでありとあらゆる運命がかれを失敗へと導いているかのよう。とにかく何をやっても最後にはドジで失敗してしまうのです。

 そんなチャーリー・ブラウンは、はたしてあの「赤毛の女の子」に振り向いてもらうことができるのでしょうか――?というプロットはほぼ原作を踏襲したものですが、今回の映画にはもうひとつスヌーピー演じる「フライング・エース」が、宿敵レッドバロンと決死の空中戦をくり広げるというサブプロットが含まれています。

 もちろん、すべては一介の飼い犬であるスヌーピーが想像力の世界で展開した空想に過ぎないわけですが、その空想はしばしば現実をひっくり返します。

 失敗だらけのチャーリー・ブラウンと犬として差別される身の上のスヌーピー。

 ふたりはしかし、なんとかハッピーエンドへたどり着こうと努力を惜しみません。

 そして、何かとうまく行かないことは多くても、基本的には親切で善良なチャーリー・ブラウンは、ちゃんと周囲から認められていくのです。

 チャーリー・ブラウンたちが暮らす子供の世界はまったくもってアメリカの大人世界の縮図そのものです。

 悩んだ子供たちは5セントを払って精神科医にかかり、あるいはスヌーピー演じる弁護士を頼りにしたりするのです。

 それらすべてはもちろんコミカルに脚色されてはいるのですが、しくじりだらけのチャーリー・ブラウンの人生はリアルそのもの。

 ぼくは見ていて身に詰まされるものがありました。

 もちろん、いくら失敗をくり返しても、主人公であるチャーリー・ブラウンは最終的にはそれなりの報いを手に入れます。

 しかし、現実は? リアルにチャーリー・ブラウン的な人生を送ってここまで来てしまったぼくに何か救いはあるのでしょうか?

 いや、そんなものはあるはずもない。結局、ダメな奴はダメなのだという救われない結論が正しいように思われます。

 そういうふうに考えていくとなんだか落ち込んでしまう映画でもありました。ああ、スヌーピー、我を救いたまえ……。

 あるいは美しくハッピーエンドで終わる映画ほど、現実の辛さを思い知らせるものはないかもしれません。

 主人公が苦闘を乗り越え、幸福な結末にたどり着くというストーリーは、どうしたってしょせんフィクションでしかあえりないじゃないかという感情的反発を呼び覚まします。

 それはあまりにも大人げない反発といえばそうですが、素直に物語を物語として楽しむには少し歳を取りすぎたぼくの実感であったりもします。

 その感情を乗り越えるにはなんとか現実で幸福を掴むしかないのですが、そんなことが可能でしょうか?

 あきらめなければいつかはたどり着ける。そんな言葉を信じられなくなった自分が哀れです。

 なんとか頑張ってはみますが、ハッピーエンドはどちらなのやら。やれやれ。

 とにかく面白い映画でした。見て損はなし。ぜひ映画館でご鑑賞をどうぞ。

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