マンガ

萌えは贅肉の産物? 永野護のファティマはなぜ「萌えない」のか。

 小林立『咲』を第4巻まで読んだ。ぼくは麻雀を知らないので具体的にどういう勝負をしているのかよくわからないのだが、それでも十分におもしろい作品だった。登場人物はほぼ全員女の子ばかりながら、方法論は王道の少年漫画のそれ。ほとんど車田正美かというくらいハッタリの効いた作品に仕上がっている。いやー、ぼくはこういう漫画好きですね。

 それにしても小林立が描くキャラクターたちは皆、恐ろしく「可愛い」。萌える。抱きしめたい。ハァハァ。この「可愛さ」はいったい何なのだろう。何がこういう印象を形づくっているのだろう。

 比較するのもばかばかしいかもしれないが、永野護『ファイブスター物語』に出てくるファティマたちは皆、『咲』のキャラクターに比べると「可愛くない」。異形ながら美しいことは間違いないし、可憐という言葉もよく似合うのだが、ふしぎと可愛いとは思えないのだ。

 『咲』のキャラクターに感じる「萌え」とか「可愛さ」といったものがファティマにはどうにも感じられないということ。性格は従順で、健気で、奉仕的であるにもかかわらずぼくはファティマには「萌えない」。なぜだろう? いったい『咲』のキャラクターとファティマではどこがどう違っているのだろう? ぼくの個人的な感覚、あるいは錯覚に過ぎないのだろうか?

 しばらく悩んでいたのだが、先ほどわかった。簡単なことだった。ファティマには「ぷに」が欠けているのだ。つまりファティマの肉体には我々人間のからだには付き物の贅肉というものがほとんどないから、ぷにぷにした印象がまったくないのである(間違いなく体脂肪率はひと桁だろう)。

 この死骸のような病んだスタイル、これがファティマを「可愛い」とは思わせない最大の原因なのだと思う。つまり、ぼくたちが「可愛い」と思うのは、基本的に健康なキャラクターたちなのである。

 もちろん、昔から眼帯萌えとか、四肢損壊萌えといった病的な萌えもたくさんある。しかし、それは基本的に健康で可愛いキャラクターが前提としてあって、それに対してアクセントとしてそういう設定を付しているから「可愛い」と感じられるのだと思う。

 ファティマのようなあまりに耽美なキャラクターは「可愛い」とはいえないのである。基準はぼくの主観といえばたしかにそうだが、共感してくれるひとは少なくないのではないかと思う。

 『エヴァ』の綾波レイはそこらへんのバランスをギリギリのところで満たしているキャラクターといえるだろう。病的で、儚げで、しかし抱きしめたら壊れてしまうというほど肉付きがなくはない。しっかりセックスを感じさせる肉体を持っている。そういうキャラクター。90年代からいまに至るまで最大の人気を保っているのも当然だ。

 この理屈でいうと、「萌え」とは贅肉の産物だということになる。もちろん、それでいて過度に太っていることは許されない。ずいぶん都合がいいとしかいいようがない話だが、「萌え」とはそういうものなのだと思う。のどっちのきょぬーハァハァ。

 ちなみにこのブログの読者のだいたい20%は女性で、そのうちの25%は10代である。つまりティーンエイジャーの女の子の読者が5%はいるということになる。さすがに有料会員のなかにはそういう子はほとんどいないだろうと思われるが、こういうことを書くと「オヤジ、キモっ!」などといわれる可能性はあるかもしれない。

 でもでもふくよかなおっぱいはいいものですよね? 和のきょぬーに顔をうずめて死にたいと思ったりする海燕さん(34歳、萌え豚、ひきこもり、恋人、資産なし)なのであった。あ、でもロリロリしい咲たんも十分OKですよ? ぶひぶひ。

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